ぼくらは仕事で強くなる。

人や組織のこと、事業のこと、働くってこと。LoanDEAL代表のブログです。

100年人生の人たちが働く未来企業ってどんなだろう。

ちょっと今さら感もありますが、リンダ・グラットンさんの『LIFE SHIFT』を読み終わってから、またまた読みかけだった『未来企業』を立て続けに読んでたらちょっと頭が混乱したので、その話を。

『LIFE SHIFT』では、平均寿命は100歳を超えて80歳くらいまで働くことが当たり前になって、そのキャリアはパラレルになることもあるし、全然違う職業へ転身(変身)する能力が求められるようになるということが指摘されています。有形資産だけではなく無形資産を蓄積すべきという話や、人生の途中での学びなおしの必要性なども、100年人生と考えたときにはとても納得感があります。

一方で、『未来企業』は、不確実性の増す世界では企業にレジリエンス(ざっくりいうと適応力、回復力、弾力性)が求められるという話です。そして、企業におけるリーダーシップには、組織を後世に持続させる可能性を重視し長期的(25年以上)な時間の幅で戦略を立てる能力が必要になってくると指摘されています。これもまた、仰るとおりだなぁと思うわけです。

ちょっと余談になりますが、(正確な数値は忘れましたが)創業家が代々継いでいる企業の方が利益率が高いとか、イノベーションを起こしやすいと聞いたことがあります。これは子供や孫に組織を譲りたいという思いが強いからでしょう。また、300年以上続いている企業の半分以上が日本にあるそうです。このあたりのことから考えると、『未来企業』に指摘されているような長期視点を持ったリーダーシップというのは、日本企業の強みなのかもしれないなぁと感じます。

話を戻して・・・

『LIFE SHIFT』に書かれている個人の視点、『未来企業』で指摘される企業の視点、それぞれに納得感があるものの、これをどうやって両立させるのはとても難しいことだな、と思うのです。

個人が人生を充実させるには画一的なキャリアは回避すべきだが、企業のリーダーとなるべき個人が長期的に企業の成長を考えるためには、それなりに長期間にわたって企業との関係を維持していることが必要だと思うわけです。では、リーダーとなるべき個人は変身をあきらめざるをえないのか、変身能力は低いが長期視点を持てる人がリーダーとして適性のある人なのか。

平たい言い方をするなら、どんどん他の会社に移っていくようなキャリアの中で、それぞれの企業の将来、つまり自分が辞めた後の企業のことを考えながら戦略を考える、なんてことのできる人って、どれくらいいるものでしょうかね。

『未来企業』の中に書かれていた話でちょっと印象的だったのは、「一般的に後継者選びの担当者は70~80%を社内で育成し、残り20%は社外から幹部として招聘している」という話です。さらっと書かれているんですが、もちろんこれは日本企業の話ではありません。(ちなみに東証一部上場企業のうち、新卒社員が代表者となっている企業は全体の60%だそうです。)つまり、企業がリーダーを決めるときには企業文化や価値観との適合性というのが重要視されるというのは万国共通のようです。

個人のキャリアにおいては選択肢を広げられる能力の蓄積が求められ、企業には今以上に長期視点が求められる。こう考えると、個人は単に転々と新しいキャリアを求めるのではなく、何かしらの軸(これが、例えばある特定の企業という軸)を持ったうえで選択肢を広げるというやり方が良いのではないかな、と思うのです。これ以上書くと、ポジショントークになっちゃいそうなので、このくらいにしておきますが、ぜひ他の考え方やご意見があれば、教えていただけたらとても嬉しいです。

いずれにせよ、働き方についての話がとても増えていく中で、個人としてどうあるべきか、企業としてどうあるべきか、両方の視点を行ったり来たりしながら考えないといけないんじゃないかなぁと思う今日この頃です。

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