ぼくらは仕事で強くなる。

人や組織のこと、事業のこと、働くってこと。LoanDEAL代表のブログです。

巻き込み力、について。

これは半ば、レンタル移籍をしている皆さんに向けて、そしてあわよくば、何か新しいことに挑戦している方々に、参考になればいいな、と思って書きます。

 

私がやっているローンディールという会社では、大企業の方々に一時的にベンチャー企業に出向・研修という形でレンタル移籍し、プロジェクトに参加してもらうという仕組みを作っています。特に大きな企業にいた人がいきなりベンチャー企業という後ろ盾のない世界に飛び込むと、当然、社内のリソースも少ないし、パートナーとなるような企業も限られている中で、「周りをどうやって巻き込めばいいか」ということで悩まれるケースがよくあります。実績も知名度もない環境で、周囲の人や企業の協力が必要なんだけど、どうしたらいいかわからない、という壁にぶつかるのです。

 

実績があれば、その実績を根拠に相手が得られるであろう価値を示せる。それを期待して協力をしてくれる人が現れます。でも実績が出る前の段階で、そういうのがないときにどうやって周りから力を分けてもらうかというのはとても難しい。

 

私自身起業して、2年ちょっとの身なので、おこがましい話ではありますが、自分なりに意識していることを共有してみます。ポイントは、以下の5つ。

・自分ごと化して語る。

・恥を捨てて、さらけ出す。

・自信をもって楽天家になる。

・丁寧なコミュニケーションをとる。

・芯を捉える。

それぞれについて、少し解説をしてみたいと思います。こういうのはもっと、いろいろうまくいっている人が書くべきことな気もするんですがね・・・、何かの参考になったらとても嬉しいです。

 

「自分ごと化して語る」

とにかく、なんでこの事業をやっているのか、を語ることがやっぱり一番大事だと思います。実現しようとしていることは、話を聞いたすべての人が同意するようなものではないわけですから(そんなものなら誰かがやっている)、そのアイディアを聞いた時に「あぁ、だからこの人はこんなことやっているんだね」という合点がいくかどうかは大事なんだろうな、と思います。

 

例えば、レンタル移籍で人材を受け入れてもらっているトリプル・ダブリュー・ジャパンさん。いつトイレに行きたくなるかを教えてくれるデバイス「Dfree」を展開しているスタートアップ。ホームページを見ると、いきなり「私、うんこもらしたこと、あるんです。」と。あぁ、だから!!って納得感がすごい。もちろん、そうじゃないいろんな理由や目的があって、起業をしているはずだけど、この一言ですべて合点がいく。

 

そして、自分ごと化して語れるストーリーは、起業家だけに必要なことではなく、そのチームに所属しているなら誰もが持っておくべきだと思うんです。起業家だけでは語れる範囲に限界があるし、ひとつのストーリーしかなかったら共感してくれる人も限られてしまう。せっかく新しいことをやっているなら、そこに参画しているみんながストーリーを持っていたら、強いと思うんですよね。

 

最初はこじつけでもなんでもいい。下手なストーリーでもいいから、ネタをつくっておいて、なるべくいろんな人に話す。友達とかにでもいいので話してみて、受けるところ受けないところを見極めて、ちょっとずつストーリーを磨いていく。とにかく、話しつづけることが大事。話していると自己暗示もかかってくるものです。そうしたら「あーその気持ち、自分もわかる!」っていう人がちょっとずつ現れてくるはず。

 

事業と自分を繋げるオリジナルなストーリーをつくって、語ってみるといいんじゃないかな、ということですね。

 

「恥を捨てて、さらけ出す。」

甲子園が、好きなんですよねー。別に高校時代には野球やっていなかったけど。ぐいぐい引き込まれるし、応援したくなる。それって、何をやっているのか、何のためにやっているのか、どんな状況なのか、いろんなことが容易に想像できるからなんだろうな、と思います。3年生でキャプテンやってるけど補欠、みたいな選手がいたら、2年の冬にけがしたのか、もともと元気さを買われてキャプテンになったのかな・・・とか、勝手に妄想で盛り上がれる。

 

応援する側にとって、状況が分かるということは大前提になります。自分ごと化したストーリーというのもその一つです。ただそのストーリーだけでは足りなくて、それに対して今どんな状況か、ということをわかってもらう必要がある。そしてそれは多少、格好悪い方がいい。

 

Facebookで近況をあげるときとか、ついつい格好つけたくなります。うまくいっているようにアピールしたくなります。でも、そういうイケてる投稿を見て、すごいなーと思っても、別に応援したいっていう気持ちはわかないですよね?

 

他人の不幸は蜜の味。不幸と言わないまでも、苦労してもがいている姿に人は惹かれるんだと思うんです。そして幸いなことに、新しいことやってたら、実際のところ格好悪いことばっかり。だから恥を捨てて、格好悪い部分をちゃんとさらけ出せばいい。別にFacebookとかに限った話じゃなくて、商談相手だったり、社内の人だったり。格好悪いネタをどんどん作って、どんどん自己開示しちゃえばいい。

 

製品やサービスにしたって同じです。完成してから見せるんじゃなくて、未完成の段階から見せることが大切ですね。(ちなみに本人としてはいたって真面目に完成していると思っているのに、はたから見たら未完成みたいな状態、がベストかな。)そしてそれを断片的に見せるのではなく、変化を継続的に見せる。そうすることで相手の中でストーリーができていって、応援したくなっていくんだと思うんです。

 

状況が分からなきゃ、応援なんてできません。うまくいってるばっかりじゃ、応援しがいがありません。だから、どんどんさらけ出せ!!ってことですね。

 

「自信をもって、楽天家になる」

私の大好きなCMで、「恐れることを恐れるな」ってオシムさんが言うやつがあるんですが、ご存知ですかね?その中でオシムさんが問うんです。「自分を信じられない人間を、どうして他人が信じられるだろうか」って。もうその通りだな、と。

 

オシムさんは言います。「今、この時代において、自分に自信を持っている人間はそう多くはない。恐れることを恐れるな。進め。」

 

自信って何でしょうか。自信にもいろんな種類があるでしょうけど、物事の成るか成らないかではなく、今、自分がやっていること自体に、ちゃんと自信をもっていることが大事だなと思うんです。成功する確率の高低で自信を持てるわけじゃない。最初の話と被るんですけど、「なぜ自分がこれをやっているか」をクリアに話せるかどうか、それが自信だと思います。

 

そして、それがクリアになってしまえば、失敗もさらけ出せる、そして、応援してもらえる人が増える。自信を持つと、そういうサイクルが回り始めるんじゃないかな。しかも、そういうサイクルが回りだすと、いっぱい失敗した方が、お得になる。だって、ネタが増えるから。そう思ったら、楽天的になれませんか?失敗した時にもすぐ立ち直れる。

 

あともう一つ付け加えておくと、結局、自分が失敗しようが、別に誰も大して気にも留めないし。失敗した時にも、周りに残ってくれるのは、格好悪いと思わない人だけです。そうじゃない人は、すっかり忘れます。

 

だから、別に大丈夫なんです。失敗したって、恥かいたって大丈夫。「今」に自信をもって、結果とは切り離して楽天的になって、とことんやれば大丈夫。

 

「丁寧なコミュニケーションをとる。」

いきなり話が飛びますが、ビジネスマナーとか、コミュニケーションとか、相手にちゃんと知ってもらう、覚えてもらうための工夫っていうのはすごく大事だと思うんです。

 

例えば、アポイントを取るとき、こちらが会いたいと打診をするのであれば、ちゃんと候補日を提示する。(会いたいんですけど、いくつか候補日くれませんか?っていう方がたまにいるんですけど、候補日、出したりするのすごくめんどくさいし、やっぱり3つくらい候補日を出すのがマナーだと思うんですよね。)

 

誰かに人を紹介してもらって会ったら、やっぱりその後に、紹介してくれた人に結果を報告すべきだと思う。

 

交流会とかで知り合ってFacebookで友達になってくれたら、やっぱりお礼のメッセージくらいは送った方が良いと思うし、その時に、自分がだれで何者かを一言添えておくことで、格段に覚えてもらえやすくなる。

 

年齢や役職などで態度を変えない方がいい。なるべく愚痴は少ない方がいい。

 

・・・などなど。自分も全部はできてないし、起業した直後はできていたのに最近ずさんになっていることもあったりするので、多分に自戒も込めていいますが、やっぱり丁寧にやる、相手のことを尊重してやるっていうことはとても大事なんだと思うんですよね。それがないと、応援する気になんてならない。

 

そういう点において、ビジネススキルを磨いておくことは当たり前ですが必須ですよね。思考力や文章力みたいなものもそうだし、会食などのマナーも含めて。こういうところで相手の気持ちが離れてしまったら勿体ない。

 

「芯を捉える。」

これはとっても難しいことだと思うんですが、芯を食っているかどうか、っていうのは大事ですよね。論理的に考えるとそうだよねー、って思うだけでは、なかなか相手にも響かないと思うんです。

 

例えば、私が取り組んでいる「レンタル移籍」という事業にしても、いろんな言い方があって、いろんなプランが作れて、何度も何度も資料を作り直したりしてきたわけです。で、同じビジョンで、同じ目的のために提案しているのに、全然刺さらない、みたいなことが起こるんです。あんなに応援してくれていた相手に話しているのに、全然手ごたえがない、みたいな。そういう時、あぁ芯を外してんなぁ、って気づくんです。

 

ちょっと抽象的で伝わりにくいかもしれないんですが、外側じゃなくて、芯の部分で相手の心を捉えられているか、ってことが大事だと思います。これ、説明するのがとても難しいですね。一度、芯を捉えた場面や手ごたえみたいなものを経験できるとわかるようになる気がします。そう考えると、とにかく打席に立って、バットを振り続けるしかないのかも。

 

起業家の近くにいるのであれば、たくさん同行させてもらってバットを振っているところを見せてもらうといいかもしれません。そうしたら、彼らもたくさん空振りしていることにも気づくでしょう。そして、芯を捉えたら、どうなるかも見れるはず。そういう水準に達した言動をできているか、それに達するにはどうしたらいいか、日々試行錯誤していることは大事だと思います。

 

と、いうことで、周りを巻き込むためのポイントを5つ挙げてみたのですが、いかがでしょう?

 

自分ごと化して語れるストーリーを作って、恥を捨てて、さらけ出す。自信をもって楽天的にやる。ビジネススキルをしっかり身に着けて、相手の立場を意識して丁寧なコミュニケーションをとる。そして芯を捉えられているかどうか、感覚を研ぎ澄ます。

 

書きながらいろいろ反省したり、気づいたり私も少し整理ができたように思います。ぜひ感想、お聞かせいただけたら嬉しいです。