ぼくらは仕事で強くなる。

人や組織のこと、事業のこと、働くってこと。LoanDEAL代表のブログです。

大義はあとからついてくる。

起業して2か月、サービスをローンチして1週間の覚え書きとして。

2015年9月15日に「企業間レンタル移籍プラットフォーム LoanDEAL」というサービスをローンチしました。会社を設立したのは2015年7月7日。最初にこの事業の着想を得たのは2013年10月ごろ。

少しさかのぼりながら、この間のことを、書き留めておこうと思っています。

有給消化しながら少しずつ活動しはじめ、法人登記が終わって1か月くらい、8月前半までは、正直に言ってサービスをローンチすることすらできないんじゃないかと思っていました。商談に行っても要領を得ず、いろいろな方に話を伺っても糸口は見つからず・・・。「レンタル移籍、レンタル移籍」と念仏のようにしゃべっている自分がずいぶん滑稽に思えていました。

では、そこから1か月の間に何か突破口が見つかったのかというと、そんなものはありません。おそらく、そのころ相談に乗っていただいた方からすると、「なんだ、結局、何にも課題を解決しないでサービスを出したのか」と思われても仕方がないな、と思っています。

ひとつだけ変わったのは、それにしがみついている時間の長さ。そして、それを可能にしたのは、賛同してくれる人たちと出会えたことです。私がこんなことをやろうとしているというのを知って、誰かを紹介してくれる。その誰かが、また誰かを紹介してくれる。そうやって、まさに草の根が分岐してどんどん地中に広がっていくように、この1か月くらい、ものすごくたくさんの方にお会いすることができました。その出会いの中で、「その事業は必要だよ」と言ってくださった方、全く違う角度から事業を評価してくださる方、新しい機会を提供してくれる方、実績もないこの事業にコンテンツを提供してくれる方、お互い頑張ろうと話し合える方などなど。そういう出会いがなかったら、本当にローンチまで辿りつかなかった。感謝しています、とても。

その一方で、ローンチした記事をシェアしてくれた昔からの友人、いいねのリクエストに応えてくれた友人(ほんと、報告も挨拶もなしにリクエストしちゃってすみません)、コメントをくれた友人。そうやって、今までの自分の人生の中で出会った友人たちも、繋がって、根っこの中に絡み合ってくるような感覚がありました。

(なんか、根っこのたとえで申し訳ない・・・。)

そしてまたニュース記事を見て、メッセージをくれた方、SNSでコメントをしてくれた方など、私の始めた事業に反応をしてくれた方がとてもたくさんいて、正直、驚いたし、嬉しかった。

冒頭にも書きましたが、事業の着想を得てから2年が経ちました。ずいぶん時間がかかっているなぁ、遠回りだなぁと思われるかもしれないけれど、私にとっては必然だったような気がしています。この2年間にも貴重な時間が積み重なっていて、難しい時間もあったけど、それが少しでも欠けていたら、「今」はないような感覚があります。

そもそも、私がこの事業に取り組むきっかけとなったのは、P.F.ドラッカーの「プロフェッショナルの条件」に出てくる一節でした。(今回の話としては余談になりますが・・・)

 日本が、終身雇用制によって実現してきた社会的な安定、コミュニティ、調和を維持しつつ、かつ、知識労働と知識労働者に必要な移動の自由を実現することを願っている。(中略)社会が真に機能するためには、コミュニティの絆が不可欠だからである。

2013年10月、この一節が、ものすごく当時の自分に響きました。環八沿い、用賀インター手前のスターバックスでした。最近では珍しいけど、その店は入り口脇に灰皿があって、雨の降る中、タバコを吸って何時間もぼーっとしていたことを思い出します。先日、ある経営者の方が、「起業するやつには自分だけに見えている光がある」とおっしゃっていました。あの時、読んだこの一節が、私にとっては光になっているようです。

ただ、その光はずいぶん遠く、かなりぼやけてしか見えていないなぁと思うのです。個人的にのっぴきならない想いもあり、何度もどん底を経験して辿りついたと思っているけど、そんなものは誰だって同じ。じゃぁ、ビジョナリーに世界が見渡せているかと言われたらそんなこともないし、戦略がきれいに構築されているわけじゃない。だから、立派な事業計画を書くこともできないし、自信がないことだらけで大してハッタリもきかない。ただ、しがみついていたってだけです。

これが、この2年間くらいのあらましです。

だから、あんまり良いやり方ではないかもしれないけど、何かにしがみつきつづけてみる、とにかく動いてみるっていうやり方もありなんじゃなかろうかという実感があります。

起業をするという観点で言うなら、最初から素晴らしいビジョンやミッションを掲げたり、戦略を構築したりということはできなくても、何か自分のピンときたものを始めてみる。そのうちに、根が生えて芽が出る。そんなやり方もあるのかもしれません。企業に属して働くということも同じで、最初は事業に対する共感が薄くても、今すぐに思うようなパフォーマンスが出せなくても、やっぱり「今」にしがみつくことで拓けるものがあるんだろうと思うんです。

もうかれこれ10年くらい、自分が為すべきことは何かっていうことを考えながら、仕事をしています。特に、娘 が生まれてから、きっといつか父親が何をしているかという話をする日が来るのだろうって思ってから、自分が働くうえでの「大義」って何だろうということをよく考えるようになりました。

ただ、振り返って思うに、「今」に全力をぶつけられる状態にあるかどうか、それは自分の意識もそうだし、環境もそうだし・・・そういう状態に居られることこそがとても大切なんだなと思うんです。何も明文化された何か立派なものなんてなくてもいい。でもすべてをぶつけられれば、自分はいくらでも変われる。そうしたらきっと、大義はあとからついてくるんじゃないかな、と。

自慢ではありませんが、課題は山積みで、感傷に浸っている暇もありません。ただ、私にとってこの事業が、自分が生涯をかけて取り組める事業かと問われたら、2か月前よりも、もちろん2年前よりも、ずっとずっと強く、そう思います。支えてくれた人への恩返しなんてきれいごとを言うつもりはありませんが、しがみついて、何としても生き延びて、この事業を成し遂げたいと思っています。

 

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