ぼくらは仕事で強くなる。

人や組織のこと、事業のこと、働くってこと。LoanDEAL代表のブログです。

人生はポートフォリオじゃない。

起業をすることにしました。そのあたりの経緯というか、どんなことを考えたかということを、備忘録的に記しておきたいと思います。

「人生はポートフォリオじゃない。」

ちょっと前に友人に薦められて読んだ、「ZERO to ONE」(ピーター・ティール)という本の一節です。大まかに言うと・・・
誰もが自分の人生に対する投資家だ。自分の時間をどこに投資するか。一般的に、投資を分散してリスクヘッジすることが良いといわれる。でも、人生はポートフォリオじゃない。自分自身を「分散」させることなんてできない。不確実だから保険をかけるのではなく、「何をするか」に集中をすべきだ。「ひとつのもの、ひとつのことが他のすべてに勝る」のであって、その「ひとつのもの」が持つ将来価値を真剣に考えるべきだ。
・・・という話。

著名な方の本とか、何かを成し遂げた方の話に触れて思うのは、そもそも「ひとつのもの」を見つけることの難しさ。集中すべきだというのはおっしゃる通りだし、その集中力をいかに高められるかということこそが成否を分けるのだろう。並大抵の力ではないはず。ただ、そもそも、その「ひとつのもの」に出会う前のことにはあまり触れられていないなぁ、と。

私の周りでも、すごく前向きに仕事に取り組み、素晴らしい力を持ち合わせた人がたくさんいるけれど、そういう人が、「ひとつのもの」が見つからないと感じているケースはとても多い。だから、そもそも「ひとつのもの」をどうやって見つけたのか語ってよ、と思ったり。

それで、もやもや考えていたのですが・・・「自分が持っている力、これから持ちうる力をどう使うか」に集中すればよいのだろうという考えに至りました。正しい力の使い方に集中していれば「ひとつのもの」との出会いなんて、気づいたらいつの間にか済んでいるのかもしれないなぁ。そして、力は誰もが持っているものだから、誰にだって「ひとつのもの」はあるんだろう、と。

私の場合、2年ほど前に、これからやろうとしているビジネスの着想を得ました。時間が経っても、批判的な指摘をもらっても、それに対する想いが薄れませんでした。働きながら並行してやる方法なども模索してみたけれど、残念ながらそういう器用さを持ち合わせておらず、中途半端な「今」を過ごすことが一番のリスクだと感じるようになりました。安定を欲する気持ちもある。でも、現状維持を狙って現状維持なんてできるわけがない。そうであるなら、いっそ自分の力をすべてぶつけてみようと思い、起業という決定をしました。

そうして、最終出社日から1週間が経ちました。この決定が、自分にとって「ひとつのもの」かどうかは、どうやらまだ不確定です。今になって、よく気持ちが揺らぎます。自分の考えが浅はかすぎたのかもしれない。もっと掘り下げて考えるべきではなかったか、と。でも、それでよいのだと思っています。不安を抱き、痛みを伴っても、それでもそこにしがみついてやっていけば、とりあえず無駄にはならないはず。

自分の力を使う道に、どこまで集中できるか。別に起業をしたからというわけではなく、いつでも、そういう勝負なんだと思うんです。